FIRE BALL Impression
 *プロダクツレポート
PART2:DH用Fフォーク
 
 お待たせしましたプロダクツレポート第2弾!!待ってた人はいないと思うけど、一応・・・。という訳で第2弾はDHフォークといきましょう。今回は前回のタイヤレポートは違って結構辛口でいこうかな?と思ってます。と言うのもタイヤと違ってサスというのは、ライダーが初級者だろうと上級者だろうとその人に合ったセッティングというのが可能だから。つまりその人に合っていればサスその物の印象は同じだと思う。この「その物」と言うのはそのサス自身が持ってる性能の事。よってスプリングの硬い柔らかいというのは今回はノータッチということで。
 今回のインプレは一般的なインプレとは違ってサス内部に大きく触れようと思ってます。これは僕がメカ好きという事もあるけど、ユーザーのためでもあると思う。つまりメンテナンス性。市販されてるからには一般的なユーザーが基本的なメンテナンスが簡単に出来るようになってないと実用的とは言えない。もちろん作動特性にも触れます。これがまず第一ですからね(動けばいいの、サスなんて、って思ってません?)。基本的に、ダンパー自体が作り出す作動特性(オイルの粘度調整などによる)、オイルシールなどの仕上げ精度などをみていこうかなと思ってます。スプリングにはノータッチ、と言ってもテンションの効きにはスプリングの硬さも関係してくる。粘度調整というのはあくまで自分に合ったスプリングにしてからの話。オイルを変えて「良し」と思ってもその後スプリングを変えたら、またリバウンドスピードが変わっちゃうからね。ま、コンプレッションも変わるんだけど、リバウンドほどの変化は無いからちょっと割愛。難しんだよね、今の機構だと。どちらかをいじればもう一方も影響受けちゃうから。
 
 前置きがちょっと長く?なりましたが、今回インプレするのはテックインT−01とコーク180。今回は前回のように有名所を全部インプレするのは無理。これ、当たり前。金無いし・・・。で、今まで使ったまともなDHフォークをピックアップするとこの2本。2本とも日本製という事でちょうどいいかな?それではいってみましょう。ちなみに2本ともヘッドアングル等、セッティングの方向性は一緒にしてあります(当たり前だけど)。
 

1、テックイン:T−01 TYPE−D
  *スペック*
   倒立式 完全密閉型カートリッジダンパー
   片側5段階テンション調整(トップダイヤルによる)
   ストローク:160mm(メーカー発表)
   重量:3,600g(メーカー発表)
 
 まずは作動感から。発売当初、本当にこの動きには驚いた。少なくともそれまで市販されてたフォークの中でこれ以上に動きの良いのは無かったと思う。ほとんど摺動抵抗というのが感じられなかった。今でもその印象は変わらない。
 作動上でこのフォークの特徴として、まず反発(伸縮の)がすごく抑えられてるという事。本来この形式のダンパーだと反発が大きくなる。それは完全密閉のダンパーのため。ダンパー自体にコンプレッションがかかってるので、ダンパー自身に自然に戻る作用がある。つまりサスは奥まで入ろうとはしないで、戻ろう戻ろうとするのである。だから本来このようなダンパー形式のフォークに乗ると、たいていの人は固い印象を受ける。モトクロスのサスでも同じような機構があるんだけど、こちらはあえてこの印象をつけてるみたい。これはジャンプが多いためでしょう。サスが入りすぎるとタイミング取れないからね。しかしDHはこれでは困る(少なくとも日本ではジャンプだらけっていう事も無いしね)。動かないサスになっちゃうからね。ちょっと本題ずれたけど、このフォークはその固さが感じられない(これはあくまで同機構と比べた場合)。オイル粘度は10番が標準となっているのに、である。これはリバウンドスピードを考えてこの番手が標準オイルとなっているのだろうが、コンプレッション時にこの粘度の固さを感じないのはオリフィスがとてもよく考えて作られてるおかげでしょう。コンプレッション時にはスムースにオイルがオリフィスを通過し、リバウンド時にはオイルが通過する量をうまく抑えている。精度が良いおかげですね。少しでもズレがあるとこうはいかないでしょう。結果、奥までスムースに入りテンションの効いた作動感となって、とても乗りやすく、扱いやすくなってる。奥までとは言ってもボトムするという訳じゃなくて、ボトム付近ではしっかり粘る。だからまずこのフォークで底付き感というのは感じられない。これはダンパー内部のバンプラバーによる所も大きいような気がする。これはサス破損を防ぐための物でもあるんだけど、このおかげでボトムする時にも手にこない仕組みとなっているんだろう。これはテックインも狙ってたんじゃないかな?
 しかしこの、乗りやすい、扱いやすいというのは乗車位置が真ん中から後ろ乗りの人(正直、真ん中で乗るっていうのがどういうことなのか掴めてないんだけど、とりあえず後ろ乗りの人と一緒にさせてください)。前乗りの人にはこのテンションの効いた状態は嫌うはず(その人の体重にもよるが)。と言うのも前乗りの人は体でリバウンドを制御してるから。テンションの効きが大きいと当然サスは戻ってこない、結果跳ねると感じる、という訳ですね。これを変えるにはオイル交換しかない。スペックの欄で外部調整が付いてる事は書いたが、これがあんまり変わらない。あんまりと言う事は少しは変わると言う事でもあるんだけど、このダイヤルはあくまで微調整するための物だと思う。「全体的にはいいんだけど、ここのコーナーだけ苦手、どうにかなんないかな〜」ってな時のためかな?これはテックインに聞いた訳じゃないんで確かな事は言えないんだけど・・・。基本的にそのサスの作動特性を大きく変えるにはオイル交換しかない(中には調整幅が大きい物もあるけど、しかし・・・、なんです。これはコークの所で)。で7番、5番に変えればとても良い状況が作り出せる。
 で、このオイル交換も結構簡単。内部機構が簡単だからってのもあるけど、メーカーからしっかりマニュアルが出てるから。注意しなきゃいけない点である「ダンパーにエアーを噛ませないようにする」ってのも、これによって安心して出来る。誰にでも挑戦できると思います。
 
 ここでメンテナンスの事が出てきたんで他のメンテナンス性にも触れて見たいが、メンテナンス自体に触れる前に特筆すべき点はメンテナンスキットが用意されているという事。これは内部構造が簡単だから出来る事(つまり、ある程度ユーザー任せに出来るという事)でもあるんだけど、自分の好みに合わせることが自由に出来るという事でかなり評価の高い点である。メンテナンス自身で、まず書きたいのがインナーのグリスアップ。ブッシュホルダー部分(オイルシールとかダストシールがある所ね)がサスをフレームに付けたままでも簡単に手で回せる(今は専用スパナが出ているが、当初は無かった。それをみると、どなたかが締めるのが緩くてトラブルがあったためなんだろうね)のですぐにグリスアップが行える。これはかなり有効。ほんの少しの動きの渋さだったらここをグリスアップするだけですぐに動きがよみがえる。ここで注意点なんだけど、グリスはテックインから出てる専用グリスを使う事。他のグリスだとシールを痛めるどころか、かえって動きも悪くするから。なんでか詳しい事は知らないんだけど。で、先程書いた精度がいいって言うのはメンテナンス性にも大きな影響がある。この精度のおかげでめったに動きが悪くなる事は無い。出来る限りノンメンテナンスにこした事は無いからね。雨の時も助かるし。あとはスプリング交換なんだけど、これはけっこうめんどう。いろんなパーツを外していかないと交換できない。これは僕が感じる事なんだけど、出来るならトップキャップを外しただけで取れるようにしてもらいたい。コーク180の所でも触れるが、オイルバスと比べれば楽なのかな〜?その訳は後ほど。メンテナンスに関してはこんなもんかな。
 
 で、次に仕上げ精度。これもまたすごく良くできてる。特にオイルシール。ダンパーの方はまずエアーが噛まないし、ホルダーの所のシールも汚れを最小限に抑えらている。それでいてインナーチューブにつけるオイル&グリスは漏れることはない。さらに摺動抵抗もほとんど無い。シールに関してはほとんど完全に出来てるって言っても過言じゃない。これはどのメーカーも見習う所じゃないかな?またインナーチューブ、ダンパーシャフト、アウター内部の精度もすごく良い。唯一改良点があるとしたらブッシュかな。撓んだ時に若干摺る感じを受ける。内部処理が良いから一見見落としがちだけど。けどこれも問題無い範囲。良くしようとすればもっと良くなるという事で挙げてみました。
 
 なんかここまで診て来ると欠点=改良点が全く無いように思えてくるけど、やっぱりというか、あります。
 まずは調整機構。さっきも触れたけどテンション調整の範囲が小さい。微妙な所で操作するものだろうと書いたが、逆にいえば微妙な所しか調整できない。これはメンテナンス性にも絡んでくる事で、オイル変更だけでは対処できない範囲がある。その点を本来はダイヤルでやりたいのに、オイルをブレンドして自分に合ったものを作るしかない。オイルを交換して確かめて、また変えて確かめて、っていうのはかなり面倒。だから妥協するしかない。こんなもんかな〜、って。それじゃもったいないと思うんですよ。上を目指してるライダー、もしくはセッティングにうるさいライダーにとってはここをもっと煮詰めたいはず。ファンライドには問題無いと思うんですけど。これをもうちょっと改良して欲しいかな。
 で、もう一つも調整に関する事。それはサスの突き出し量。つまりヘッドアングルですね。この調整がほとんど出来ない。ヘッドチューブが長いものなんて全く出来ない、何てこともあると思う。これは剛性アップ&軽量化のためにクラウンの取り付けられる範囲だけ太くしてあるせいなんです。この範囲が10mmほどしかない。10mmもあればかなり大きい範囲だと思う人もいるだろうけど、ヘッドが標準的な値より立ってる、寝てると言われるバイクにはこれだけだとほとんど調整できない。来年のバイクははほとんど180mmが標準で作られてるからそんな事は無いと思うけど、このサス、160mmにしては結構長い。今年までの150mmが標準のバイクにつけると、たいていはそのバイクの設定値よりヘッドが寝ると思う。結果曲がりにくいバイクになる(乗り方にもよるけど)。いろいろなユーザーに対応するにはこの調整範囲ももっと大きい方が良いと思う。
 で、最後に挙げておきたいのが1番大きな問題。それはサス形式&重量。つまり倒立式の必要性です。別にこのシステムを非難しているわけではないんです。しかし、これはテックインに限っての事かもしれないんだけど(他の倒立は触れた事が無いんで)、今のバイクでこの形式にするメリットはあるのかな?という事。確かにバネ下荷重の軽減でサスの作動性は良い。けどこの重さ。3,600gですよ。サスの動きよりむしろ、ハンドリングに大きな弊害を及ぼすのはいうまでも無い。しかもストローク160mmですよ。僕が思うに少なくとも160mmでは倒立は必要無いと思う。最初の売りは剛性の高さだったけど、実際はどれほど高いんだろう?これはかなり疑問。というのもロックショックス等のメジャーブランドは180mmでも正立式。これはバイク特有のブレースがあるからだと思う。このおかげで倒立にするまでも無く、十分剛性を高くできるということなのだろう。実際かなり高い位置にあると聞いた事がある。T−01は確かにコーク180に比べると剛性が高いのは感じられる。しかしコークは重量がT−01より軽いため余計なGを受けないので結果、ハンドリングが良く高い剛性を感じる事が出来る。世界のサスをみても3,000gを越すサスは稀。これからも倒立にこだわるのなら、まず第一に軽量化を計って欲しい。全員がこう思う事は無いだろうが、万人向けでない事も確か。バイクにとって重量増は1番の問題である。出来るだけ軽い事に越した事は無い。ここはオイル・ダストシールの所とは逆に世界を見習って欲しい。なんかインプレと言うよりテックインに向けての問題提起みたいになっちゃったけど、ここはもうちょっと煮詰めて欲しい所。作動性が良いという倒立のメリットを損なっちゃったらもったいない。
 僕なんかが思いつく事なのだからテックインの人も当然気付いているだろうし、もしかしたらこれらにはさまざまな問題があるのかもしれない。しかし、ぜひ見直して欲しい点として以上のようなことを挙げて見た。
 
 かなり長くなっちゃったけど、これでT―01のインプレを締めたい。書きたい事書けたし、見落としてる点もあるだろうけど一応それなりにまとまったかな?総括すると、非常によくできたサスだと思える。作動感は良いしメンテナンスもしやすい。今の状態でも十分に欲求を満たしてくれるサスだが、最後に書いた改良点を見直せば最高のサスになるだろう。
 

2、コーワ:コーク180
    *スペック*
   正立式 オープンバスオイルダンパー
      両側63段階テンション調整(トップダイヤルによる)
      両側無段階コンプレッション調整(ボトムダイヤルによる)
      ストローク:180mm(メーカー発表)
      重量:?(3,000〜3,200gぐらい、現時点できちんと計れないため。メーカー発表無し)
 
 さて、こちらもまず作動感から。オイルバスってだけあって良い動きをします。微妙な凹凸も綺麗に拾ってくれます。’98年当初、コーワ自身は作動感という点でテックインに負けていたと思う。’99ではそれを見事に埋めている。あくまでこれは’98DH-Rとコーク180の比較。’99DH-Rも同等の作動感であると思うのだが・・・。初期での動きはテックインに比べてコークの方が上かな?しかしテックインをはじめて触ったときの感動は味わえなかったが、これは仕方の無い事かもしれない。つまり現時点でサスはほぼ完成の域に入っていると思うからだ。この完成と言うのはかつてのような驚きを味わえないという意味で、まだまだ改良する点は残している(かといって2、3年後には驚くような物が出てくるかもしれないが)。話を戻すと、コークもそれだけ高い水準にある。’99時点では国内最高のサスといっても過言じゃない。剛性もブレースのおかげで高い。その物自体はテックインに比べると当然落ちると思うけど(数値化した訳じゃないんで、なんとなくの見かけからなんだけど)、重量が軽いから走行時には劣っているとは感じない。
 作動感でもうちょっと突っ込むと、真ん中が硬い。これは100mm〜120mmぐらいの位置。初期はすごく良く動くんだけど、その当たりで硬くなる。これは僕の体重が58kgというのが前提としての話なんだけど、もうちょっと体重がある人だったら真中はちょうど良いんだけど初期が柔らか過ぎる、て事になるんじゃないかな?で、このままだと奥も硬いのかな?と思うと、そんな事はない。コンプレッションの効きも悪くないのに、ジャンプとかの着地ではスコッと奥まで入ってしまう。スプリングは一応不等ピッチになってて、奥では粘るようにはなっているみたいなんだけど・・・。この訳は作動特性の所で触れるとして、今触れたいのがスプリングの問題。冒頭でスプリングには触れないって書いたんだけど、ちょっとだけ触れさせてください。と言うのもコークは標準以外のスプリングが現時点で無いから(作ってもらえば良いんだろうけど、個人じゃレートとかきめんのいろいろ大変だしね)。あくまで平均的な人に合わせたスプリングになってる。多分体重が65kgぐらいかな?となるとやはり個人個人のセッティングを出すには、異なるレートのスプリングが必要になってくる。来年には出すらしいんですけど、これは最初から用意すべき物でしょう。冒頭でもここでも述べてきたが、1種類のスプリングでは全員が満足する事は出来ない。スプリング1つで全く違った印象になってしまい、同じ物なのにある人には良くてある人には悪い、スプリングのせいでこれではもったいない。性能が良いサスなんだから、ユーザー全員にそれを分かってもらう為にメーカー側がそれなりの対処を始めからすべきだと思う。この点はテックインを見習うべき所である。逆に考えればメーカー自身が、このセッティングに自信を持っているととれなくも無いが・・・。しかし、今述べてきた事はメンテナンスの事に関係してくる。これはまた後ほど。
 で、作動特性なんだけど、先程書いた「ジャンプとかの着地ではスコッと奥まで入ってしまう」、これはオープンバスのせいでしょう。密閉カートリッジと違ってダンパー自身に伸側の反発が無いから。結果、奥まで素直にスコッと入っちゃう訳ですね。これは柔らかいサスが好きな人には良いんだろうけど、硬いサスが好きな人にはもうちょっと硬いスプリングが必要でしょう。で、ここで効いてくるのがコンプレッション機構。このおかげでとりあえずは入りを遅く出来る。つまり硬いサスに感じる事が出来る。しかしこれは動き全体に効いてくる訳だから、体重の軽い人でこのようなサスが好みの人には初期でのスムースな動きを妨げる原因となる。これでは初期作動が良いというメリットを消してしまう訳だから、結局硬いスプリングに変えたほうが良い。ここまで見てきただけでいかに自分に合ったスプリングというのが大事か分かってもらえたかと思う。
 
 セッティングの話がちらほら出てきたんで、その事について見てみると、まず先ほど出て来たスプリングの件。これは早く用意するべきでしょう。
 あとはテンション調整とコンプレッション調整。どちらもかなり大きい範囲で調整できる。まずテンションの方だが、段階に分かれているがかなり細かく調整できる。この細かさはテックインのそれと同等。しかもその範囲がでかい!!これはすごくありがたい。そのありがたみはテックインの所で述べた通りで、ここで注意した方がいいのは(これは僕がそう思うって事で聞いて下さい)、ダイヤルでテンションをあまりかけ過ぎない方が良い。調整で効かすという事は、それだけその部分に負担がかかっているって事でもある。パーツ寿命を延ばす意味でもこれは有効だと思う。という風にテンションに関しては、その機構の有効性としてテックインより大きく上回っている。で、コンプレッションの方だがこちらはテックインには無かった機構。けど、テックインではこの機構は必要無いでしょう。そこで書いたけど、その機構ゆえ常にコンプレッションがかかった状態だからね。しかしコークではこの機構はとっても重要。作動特性のところでも書いたけど、基本的のこのサスの入りはとっても速い。これを抑えないとブレ-キング時などに前後のピッチングが大きくなって、非常に不安定な状態になる。そんな時にこれがあればそれを小さく出来てとても安定する。しかしこちらもあまりかけ過ぎない方が良いと思う。作動特性の所で書いた「初期の動きの良さを無くす」てのもあるけど、それ以上にこちらもテンションと同様にパーツに関して。こちらはテンションの時より負担がかかる。戻るより入る方がかかる力が大きいのだから当たり前だけど、それに輪をかけてこの調整パーツが小さい。しかもオイルシールにも負担がかかってるから、こちらの調整は特に気を遣った方がいいだろう。
 スプリングの件があるが、全体的にセッティングに関してはかなりの高評価。これに関してはユーザー思いの設計となってる。
 
 「これに関しては」と言ったのは、あまり歓迎できない事があるから。それはメンテナンス性。先ほど「メーカー自身がこのセッティングに自信を持っている」と書いたが、そのためか一般ユーザーにはばらせない(とは言っても、人が作った物だからなんとかばらせるが)、ばらさせない設計となってるテックインのようにメンテキットが無いことからもこれは伺える。’98までの事(マイナートラブルが多かった)でかなり慎重にいったのか、とにかくメンテナンスが大変。まずトップキャップがインナーシャフトからそう簡単に外せない。詳しい構造は省くが、ここからまずつまずく。オイル交換を含めて、すべてのメンテナンスがここを外さないと出来ないので意地でも外す。で、交換用スプリングがあった場合、それを交換しようとするとオイルバスのせいでスプリングにオイルが付いてるから、当然オイルを足さないといけない。めんどくさい。テックインとは違っためんどくささ。こうなるとパーツ外してスプリングが取れる方が簡単かな?ま、これは人それぞれだけど。今書いてきたことはあくまでコーク用スペアスプリングがあった場合だけどね・・・。トップキャップが外せればある程度ばらしていける。で、次につまずく場所がダンパー。これはばらすこと事態は結果的に大変じゃないんだけど、そこまでいくのが大変。スナップリングが奥まった所にあるんで、一般的なスナップリングプライヤーだと届かない。1つは無理矢理やれば届くんだけど、やはり無理してるため傷がつきやすい。で、1つ取れたと思ってこれでいけるかなって思うと更に奥にある。これはどうやってもダメ。やはり先の長いプライヤーが要る。クロウ形のね。しかも精度が良いもの。工具屋行って探せばいいんだけど、これはユーザーにあまり良心的ではない。ここに書いたことはあくまでこれを持ってない人の為であって、持ってる人には関係無いんだけどね。持ってない人もショップにいけばあるかもしれないけど。他のサスで使ってればいいんだけど、雑誌とかのばらしてる作業を見るとどこも使ってない。だからショップでも持ってないとこ多いんじゃないかな?これでやっとすべてがばらせる。でも、なんでここまでばらさなきゃいけないか(ダンパーをばらすのはあんまり関係無いけど・・・)それはインナーパイプのグリスアップ。いくらオイルバスといっても、やはり使う頻度が高かったり使用条件が過酷だったりすると当然動きも悪くなってくる。それによってオイルも汚れやすくなる。オイル交換は1シーズンで1回でいいと言っているが、それはちょっと厳しいのでは?で、その時のグリスアップは当然必要。それがここまでばらさないと出来ない、当然オイルも入れ直さなくてはいけない。これではメンテナンス性に優れているとは言えない。テックインのようにホルダーが外部から簡単にはずせたり、マニトウの様にグリスガンで注入する方式も良い。どちらにしても、この様な方式は考慮すべき点であり改良の余地がある。あとせめて専用グリスぐらいは標準で付けてきて欲しい。このグリスはリチウム系の物を使うんだけど、良いものを探すのが結構大変。どれだけ苦労した事か。どのグリスを使ってるのかぐらいマニュアルに書いておいて欲しい。
 以上診てきたけど、メンテナンス性は決して良くない。むしろ悪い。オイルバスの為に何かと大変だというのは分かるけど、せめてグリスアップだけはどうにかして欲しい。ノーメンテナンスなんていうのはレース機材だったら絶対に不可能なんだし、いちいちメーカーに頼んだりショップに頼んでいては金もバカにならない。性能が良いサスなんだからそれをスポイルしてはメカに詳しくないユーザーもがっかりだし、決して安い買い物じゃないんだからその性能を100%(はちょっと無理かもしれないけど・・・)いかせる様に作って欲しい。
 
 で、最後に診てみたいのが仕上げ精度。これはさすがに良く出来てますね。切削技術に関しては文句のつけようがありません。寸法公差も本当に量産?ってなぐらい小さい。動きが良いのはオイルバスっていうのもあるけど、この精度が良いおかげでオイルの流れがスムースというのも大きい。この切削技術に自信があるせいか、ダンパーシャフト等にアルマイト加工などを施していない。この良否は分からないが、コーワではその必要が無いと自負しているのだろう。しかしユーザーとしてはアルマイトなどの加工を施しておいて欲しい。アルミが剥き出しのままだと傷も付き易いし、ばらした時に取り扱いに困る。ま、コーワが大丈夫と踏んでるんだろうから大丈夫なんだろうけど。
 で、もう1つの仕上げ、オイルシール&ダストシールですね。これはテックインでいうホルダーの所の事なんだけど、若干抵抗が大きいかな。ここにとても慎重になるのも分かるけど、慎重過ぎたかな?ってな感じです。オイルバスの割には摺動抵抗の点でテックインをほんのちょっとしか上回っていない。実際コークを触るまでテックインを基準に作動を予想していたのだが、それを上回る事は無かった(期待し過ぎたのかもしれないが)。この原因がシールにあるのは作動感からすぐ分かった。耐久性という点で今のままで十分納得させてくれるんだけど、出来ればもうちょっと抵抗を減らして今のままの耐久性を実現して欲しい。これは僕の勝手なわがままなんですけどね・・・。
 とま〜、仕上げ精度はとても高く結果、信頼性&耐久性も高い!!市販されてるものはこれが1番なんですよね、結果的に。シールがどうこう書きましたが、これは現時点で気になるものでもないし問題も無い。むしろ'98までの問題を見事に解決したコーワを誉めるべき点である。性能をステップアップできる点の1つという事で受け止めて欲しい。
 
 
 以上でコーワについて締めたいと思います。全体的に見てみると性能という点では素晴らしいものがありました。ただ残念なのは、何回も書いてきましたがメンテナンス性。来年モデルでは仕様に変更が無いようですから'01年、新世紀に期待しましょう。
 

 
 いや〜、めちゃくちゃ長くなってしまいましたね。これでもかなりまとめた方なんですけど、ぜんぜんまとまってないかな?最後まで読んでもらいたいけど、ここまで長いとヤになるでしょう。呼んだ人はヤになったでしょう。けど書きたい事は一応書けたつもりなんで満足。自己満足だけどね。
 一応パート3も計画中だけど、次はここまで長くなんないと思います。次はもっと綺麗にまとめないと!!
 とにかく最後までお付き合い有難うございました。またこの様な場を与えてくれた、ページの管理者:マッハにも感謝してます。それではまた、パート3でお会いしましょう。(次からは画像も入れたいな)