第1回目のパーツインプレはDHタイヤです。このインプレはあくまで僕個人が感じたことですのであしからず。さらにここでは一般のインプレと違ってインプレしたタイヤをそれぞれ比較したいと思う。と言うのもバイク雑誌ではそのものだけをインプレしてて「他と比べるとどうなんだ」っていつも思うから。 ここでとりあげるDHタイヤはIRC、TIOGA、Panaraserの3つです。その理由としては、
2:日本の土壌では日本製タイヤが無難 3:他のタイヤを買う余裕が無い(金銭的に。これが1番の理由だったり) |
1、IRC:KUJO DH まずは2.35インチから。良いですねこのタイヤ。まず実感できるのは振動吸収性。これはハードテールでDHしてみると良く分かります。細かい振動を良く吸収します。これはかなりえらい!!いくらサス、リヤショックが進歩したとはいえ細かい振動まで拾いきれない。それをかなり補ってます。またグリップ力もかなり高い。ウエット以外の路面なら基本的にエアー圧だけでどんな路面にも対応できる。次に気付くのはパンクがとにかく減る事。当たり前だけど、これはありがたい。と言うのも空気圧をかなり落とせる。さらに腰砕けをしない。つまりグリップ力がかなり増す。その落とせる量としては去年までのパナレーサー、市販タイオーガと比べるとコンマ5気圧は落とせます(これは乗り手、チューブにもよるけど)。逆に使い方を変える、つまり上の2つのタイヤと同じ空気圧で使うとすると、もともとグリップ力が高いおかげでペダリングセクションにそのアドバンテージをいかせる。さらにロックセクションでも助かる。とま〜このように、パンクをしにくいってのがどれほどありがたいかよく感じると思います。あと転がり抵抗が少ないみたいで走りが軽く感じる。これはこぎが苦手な人にはありがたいと思う。 気になる点としてはエアーボリュームがあるせいか走ってるときにガヴォガヴォ音がする。テンションディスクみたいにま、性能には関係無いからどうでもいいか。で、その性能上で気になるのはまずブレ-キング時の挙動。これはリアに関してなんだけど、ある所までのブレーキ力ではきれいに地面を捉えてるんだけど、それ以上の、たとえばタイヤをロックさせるぐらいまでブレーキをかけてるとブロックが崩れる感じで挙動が乱れる傾向にあるようだ。トップライダーはブレーキかけ方もうまいから感じないかもしれない。あとこのタイヤ、先ほど述べた通り転がり抵抗が少ないせいか滑り出しが若干早く感じる(TIOGAと比べるとそうでもないが)。勘違いしないでほしいのは、この滑り出しが早いというのはグリップ力が失われると言う意味ではない。つまり微妙に滑りながらトレッドが路面を刺す感じ。結果グリップ力が高く感じるのだが、タイヤを滑らす人には慣れるまでこれが厄介に感じるかも。と言うのも今までと同じように足を出して滑らせても、グリップを取り戻しやすいからその特性に若干挙動を乱す人もいるかも。ま、これは慣れればなんて事は無く、結果高いグリップ力を体感できる。この特性は好みの違いでもあるけど。ウエットではライダーの技量が大きく左右するので「こうだ!!」とは言えないが、かなりつらいだろう。あとタイヤ重量が重い。TIOGAの2.3インチと比べると150gも重い(2.1インチとは300g)。これはサス、リアショックに結構影響を受ける。これを書いてると話が長くなるのでまたこんどの機会にでも詳しく書きたいが、とりあえずこの重量は良い影響は与えないとだけ言っておきたい。 2.25インチの方はあんまりいい印象は受けなかった。コンパクトに扱えるってのはあるんだけどそれぐらいで、「DHにはちょっと」って感じだった。基本的にこのタイヤが太さで性能を作り出してる部分があるので2.25インチの方はKUJOの良いところが全体的に落ちちゃってる感じがある。重量も2.35インチと50gしか変わらないから、これを使うメリットってあんまり無いと思う。 総括すると2.25インチは辛口になってしまったが、2.35インチはかなりの高水準にある。とりあえずDHしてみたいという初心者には1番無難なタイヤだ。今まで他のタイヤを使ってて一度もこのタイヤ使った事無い人(そんな人、いないか?)は一度使ってみると新たな発見があるかも。またタイヤ選択に困ったときにはこれを使うといいだろう。
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2、TIOGA:FACTORY DH 続いては今人気のTIOGAです。とにかく太いですね〜。太さでグリップを稼ぐ、というのはこのタイヤのためにある言葉ではないだろうか。このタイヤは前後でトレッド形状が違うのでまずはフロントから。 このタイヤの適してる路面としては若干柔らかい路面がいいかも(この柔らかいというのはウエット路面の事ではありませんので)。と言うのも2.3インチの方はブロック間隔が広くて固い路面では接地感があまり得られない。またブロック自体もこの太さでは小さいように感じる。当然グリップ力もKUJOほど高く感じる事はできない。滑り出しが早くて、さらにその後あまり止まらない。しかし柔らかい路面ではブロックがグリップ力を発揮、また太さもあるのでかなりのグリップ力を体感できる。ウエット路面ではKUJO同様ブロックの低さもあってグリップは良くない。ブロックは硬過ぎず柔らか過ぎずといった無難なところ。KUJOよりはしっかりしてるかな?という所です。耐パンク性はKUJO、FIRE DHと比べると若干落ちるとは思うけど、そんな気になる範囲ではない。うまいライダーが使えばKUJOと同等にできるかも。次に2.1インチの方を使ってみるとこれがけっこう良いんです(ここがKUJO2.25と違うところ)。まずトレッドを見てみると2.3インチとブロックの大きさが変わらないので、結果ブロック幅が狭くなって2.3インチが苦手な路面である固い路面でもグリップ力を発揮できる(空気圧にもよるけど)。さらに柔らかい路面でも太さがない分2.3インチより若干グリップ力は落ちるかなって所だけど、その太さのおかげでかえってとりまわしが良くなってコントロール性が良い。と言うかコントロールするのが楽。と、まーフロントに関してはこんなとこだけど、コントロール性&固い路面での高グリップ力の2.1インチ、柔らかい路面での高グリップ力の2.3インチ、どちらを選ぶかはそのコース、またライダーの好みによるだろう。さらに両サイズとも重量が軽いのでサス、リヤショックの動きも良くなるし、さらに走りがKUJOよりも軽いのでスピードの乗りがすごく良い。こぎが苦手な人、サスの動きにこだわる人は迷わずこのタイヤを選ぶべし。 次にリヤだけどフロントとは大きく異なる。と言うのも2.3インチのブロックがちょうどいいサイズのおかげで、フロントの弱点だった固い路面でもグリップ力が高いのである。柔らかい路面でも当然グリップ力が高い。またリヤに求められるトラクション性も高い。2.3インチに関してはあまり欠点は見つからなかった。ここからがフロントと違うところなんだけど、2.1インチはコントロール性以外は2.3インチと比べると性能が落ちる。これはフロントと違って、トレッド幅が狭くなる=ブロックが小さくなる、ということのせいなのかもしれない。しかしこれはあくまで2.3インチと比べた場合で2.1インチと言えど56mmも幅があるため2.1インチというスペック以上の性能は感じる事ができる。特性の違いこそあれ2.1インチを基本にKUJO、FIRE DHと比較してもいいだろう。またフロント同様、重量、こぎが軽いのでライダーの負担も少なくて済む。 まとめるとグリップ、トラクション、耐パンク性などの面では若干KUJOに譲るものの、コントロール性、こぎの軽さは群を抜いている。人、コースによってはKUJOを上回る性能を発揮する可能性を秘めているタイヤだ。
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3、Panaraser:FIRE DH PRO さて、最後はFIRE DHです。このタイヤはKUJO同様ブロック自体に前後の区別はない。ただ前後の区別を回転方向を変えることによって対応している。外国製によくあるパターンだ(その昔かな?)。パターンが一緒といっても回転方向を変えているので前後別々にインプレしてみたい。 まずはフロントから。フロントに求められる性能としては何と言ってもグリップ力だろう。そのグリップ力だが去年までのパナレ−サーと比べると格段に良くなってる。ダスタープロとクージョーでは物の性質が違うとはいえ、グリップを失うまでと言う点で全く比べ物にならなかった。ダスタープロは滑り出したら止まらない、走りが重い、グリップ力が低い、耐パンク性が低い、などかなりの弱点があった。FIRE DHと比べてみると滑り出しは去年までと比べるとかなり遅い。いきなりスコッと抜ける事が極めて少なくなった。本来ならKUJOと比べてみたい所だが、滑り出しと言う点でそれが出来ない。と言うのもKUJOとはグリップのさせ方が違うように思えるからだ。KUJOはブロックが路面を刺す感じとインプレしたが、FIRE DHはブロックが路面に吸い付きながらグリップしているのである。これはパナレ−サーの癖というか性質である。パナレ−サーはこのグリップのさせ方に答えを見出してるのかもしれない。と言うのもブロックパターンが大きく変わったとはいえ去年までと性質そのものは変わってないからである。しかし滑り出しが遅くなったので、結果グリップ力は高くなってる。このグリップ力と言う点でKUJOと比べると若干落ちるが、TIOGA2.3にはそれ以上と言える。また耐パンク性は極めて高くなった。KUJOと張るとこまできたって言っても過言ではないと思う。逆に考えるとKUJOとは同じ空気圧でしか使えない。つまりグリップ力はどうやってもKUJOを超えられないと言う事でもある(チューブにMX用やチューブを2重巻きにすれば別だが)。とは言ってもパナレ−サー好きにはIRCとの差が埋まってうれしいところであろう。もう一つ特筆できる点としてはこれ1本でかなりのウエット路面まで対応できることだ。これは上でみてきた2つのタイヤと大きく異なる点であり、ずば抜けて良い点でもある。一見ブロックが大きくて間隔が詰まってるからドロハケが悪そうに見えるのだが、実際使ってみるとこの3段ブロックのおかげか結構泥を掻き出してくれる。これは今までのパナレ−サー同様なので、ブロック形状を大きく変えたのにしっかり受け継いでいるとは、パナレ−サーの開発部門でもかなり力を入れている要なのだろう。欠点はと言うと、走りが依然として重い。しかしこれはパナレ−サーのトレッドの性質上しょうがない事である。先程、吸い付くようにグリップする、と言ったがそれはトレッド(=コンパウンド)が柔らかいという裏返しでもある。この柔らかさのせいで常に路面をつかむので重たく感じるのである(そのおかげで安心感は高いのだが)。これは毎年同じなので今後改善の余地があると思う。あともう一つ気付いた欠点としては耐パンク性を高くしたせいか振動吸収性が低いことである。これはリヂットだとより感じられる。とにかくサイドウォールが硬い。KUJOほど厚みがない分硬くなってる。ま、フルサス用に作られたんだろうからしょうがないところだが、KUJOのところでも書いた通り細かい振動はサスが拾いきれないので吸収性は高い事にこした事はない。KUJOのようにサイドを厚くして耐パンク性を上げるなど、もう少し振動吸収性を考えた構造にした方がいいかもしれない。 続いてはリアだが、タイヤとしての基本的性能はフロントで述べた通りなのでそちらを参考にしてもらって、ここではリアに求められる性能であるブレーキング力、トラクション性について触れてみたい。と言っても特筆するような事はあまりないのだが、まずはブレ−キングの方だがブレ−キング中の安定度はピカイチ。これはコンパウンドが柔らかいおかげだろう。ブレ−キング中に腰が砕けることもなく、またKUJOのように乱れる感じもなくとても素直な挙動を感じさせてくれる。去年までも今と比べてタイヤが細いにもかかわらずブレ−キング力はそれなりに高かった。それをきっちり受け継いでいて、これはとても好印象だった。続いてはトラクション性。こちらも柔らかいコンパウンドとタイヤが太くなったおかげでかかりがいい。ペダリング力がうまく路面に伝わってる。ただし、もたつき感のあるバイクとはあまり相性はよくないだろう。余計にべたべたした走りになると思う(実際そういうバイクで使った事ないから推測なんだけど)。リヤに関してはこんなところだが、リヤに求められる性能は満たしているので僕の中ではけっこう評価大。 全体的に多少改善の余地があるが去年から比べると格段に進歩しているから、来年もこの調子で進化していってもらいたい。
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以上、とても長くなりましたがタイヤを診てきました。こうやって文章で書くといろいろな点が出てくるものですね。完璧かと思われてたKUJOでさえ多少なりとも欠点があったし、FIRE DHはかなり進歩してたし、FACTORY DHもTIOGAとしては一応はじめてのDHタイヤなのにかなりの高水準で出てきてるし。こうなると外国製の物も使ってみたいですね。いろいろな事が見えてきそうです。 と、これをDHタイヤのまとめとさせてもらいます。最後まで有難うございました(PART2はあるかな?)。 |
Text : T.FUJITA